📌 この記事でわかること
- 歯医者・散髪・予防接種が、発達障害の子にとってつらい理由
- 見通しづくり・場所選び・先に伝える——わが家の乗り切りの工夫
- メガネ全滅→まさかのコンタクト。「合う形」は予想外のところにあった話
歯医者、散髪、予防接種。カレンダーにこの予定を書き込むだけで、ため息が出る。そんなお母さん、多いんじゃないでしょうか。私もずっとそうでした。
ASDの次男は感覚過敏のある子で、幼い頃はこういう「連れて行かなきゃいけない場所」が、親子そろっての一大イベントでした。行く前から親が緊張して、終わった頃には親子でぐったり。
この記事では、なぜあんなに嫌がるのかと、わが家がやってきた乗り切りの工夫をまとめます。
😖 なぜこんなに嫌がるのか——あれは「感覚の試練」
歯医者・散髪・予防接種。この3つ、冷静に分解してみると、発達の子の苦手が全部つまっているんです。
バリカンやドリルの音。頭や口の中を触られる感覚。注射の痛み。じっとしていなければいけない時間。逃げられない椅子。そして、次に何をされるか分からない見通しのなさ。
音に敏感な子、触られるのが苦手な子、先が見えないと不安になる子。どのタイプの子にとっても、どこかに地雷がある。うちの次男は、幼い頃、トイレの水を流す音さえ怖がった子です。大きな音、予測できない刺激は、あの子にとって「がまんすればいい不快」ではなくて、本当の苦痛でした。
だから、大泣きや大暴れは、わがままでも、しつけの失敗でもないと思っています。感覚の試練に、体が全力で抵抗しているだけなんです。
🏥 病院で「待つ」こと自体が、まず難しかった
次男の幼児期、病院はほんとうに大変でした。
待合室でじっと座っていられない。うろうろして、隙あらば走り出す。だから常に手を握っていました。それでも、会計や名前を呼ばれた一瞬の隙に、いなくなる。診察の中身にたどり着く前の、「待つ」の段階で、もう親の体力は半分削られている。
あの頃のわが家の唯一の武器は、受付で毎回、こちらから先に伝えることでした。「自閉症なんです」。先回りして言っておくと、スタッフの方の対応が変わる。待たせ方を工夫してくれたり、順番を配慮してくれたりすることもありました。
特性を伝えるのは、恥ずかしいことでも、大げさなことでもありません。その場にいる大人を味方につける、いちばんの近道でした。
🗓️ 事前の「見通しづくり」がいちばんの薬
うちの子たちに効いたのは、なんといっても見通しづくりでした。
行く前に、何をするのかを言葉で伝えておく。「今日は歯医者さん。口を開けて、先生が歯を見て、終わったら帰るよ」。流れを短く、順番に。できれば「痛いことはしない日」なのか「ちょっとチクッとする日」なのかも、ごまかさずに伝える。ごまかして連れて行くと、その場は入れても、次から警戒が倍になるからです。
初めての場所なら、前もって建物の前まで行ってみる、待合室だけのぞいてみる、という下見も効きました。「知らない場所」が「一度見た場所」になるだけで、当日のハードルはひとつ下がります。
散髪なら、家でケープの代わりにタオルを巻く練習をしてみる。霧吹きの水に慣れてみる。本番をいきなりやらせるのではなく、小さく分けて、慣れる時間をつくる。急がば回れが、この子たちには本当に近道でした。
「終わりが見える」ようにするのも効きました。心理士さんにすすめられて、わが家ではタイムタイマーや砂時計を使っていた時期があります。あと何分でこれが終わるのかを、数字ではなく色や砂の減り方で見せる。言葉で「もうすぐだよ」と言うより、目で見えるほうがこの子たちには届きました。診察の順番待ちにも、散髪の途中にも、同じ考え方が使えます。
🏪 場所選びと段取りで、半分は決まる
もうひとつ大事だったのが、場所と段取りです。
すいている時間帯を選ぶ。待ち時間が短くなるよう予約を工夫する。発達の子への対応に慣れたところを探す。歯科なら、障害のある子を診てくれる歯科もありますし、美容室や理容室にも、子どもの扱いが上手なお店があります。
そして、ここでも「先に伝える」です。予約のときに「感覚過敏があって、音が苦手です」「じっとしているのが難しい子です」と伝えておく。対応できるかどうか、お店や病院の側も準備ができる。合わないと感じたら、場所を変えていい。うちの子に合う場所を探す旅だと思えば、1軒目でうまくいかなくても失敗ではありません。
これは塾や放課後デイを探したときに学んだことですが、ホームページや評判だけでは分かりません。同じような看板を出していても、対応も中身もまるで違う。だから気になったところは、自分の目で見に行くようにしていました。歯医者や美容室も同じで、一度のぞいてスタッフの方の雰囲気を見ておくと、連れて行っていい場所かどうかは案外わかります。
👓 「合う形」は、予想外のところにあった——メガネとコンタクトの話
これは感覚過敏まわりで、わが家がいちばん驚いた話です。
次男は視力が下がってメガネを作ったのですが、感覚過敏で全滅しました。耳にかかる感覚、鼻に乗る感覚が無理で、かけていられない。何度試してもだめで、親としては「メガネがだめなら、もう打つ手なし」と思いますよね。
ところが。まさかのコンタクトレンズなら受け入れられて、そのまま定着したんです。目に直接入れるほうが無理だろうと、親は勝手に思い込んでいました。本人の「平気」は、親の予想の外にあった。
歯医者も散髪も注射も、同じだと思います。定番のやり方でだめでも、その子に合う別の形がどこかにある。立って切るのがだめなら座って、鏡がだめなら鏡なしで、一度に全部がだめなら今日は前髪だけ。正攻法にこだわらず、形を変えて試す価値は、いつでもあると思っています。
🌸 できなくても責めない。少しでもできたら大成功
最後に、いちばん大事にしてきた構えの話を。
頑張って連れて行っても、その日は椅子に座れただけで終わることもあります。診察室に入れずに帰る日もある。そういう日、親は本当にがっかりするけれど、責めないと決めていました。本人がいちばん、頑張ったあとだから。
椅子に座れたら大成功。口を開けられたら大成功。泣きながらでも最後までいられたら、大・大成功。そのくらいの採点でちょうどいい。積み重ねていけば、あんなに大変だった場所が、いつのまにか「行ける場所」になっていたりします。病院で脱走していた次男も、今は中学2年生。あの頃を思えば、うそみたいに落ち着いて通えるようになりました。
今日、歯医者や散髪を前に気が重いお母さんへ。無理せず、小さく分けて、先に伝えて。それでだめでも、あなたのせいじゃありません。その子の「合う形」を、一緒にゆっくり探していきましょう。
⭐ここが大事!
歯医者・散髪・予防接種がつらいのは、音・触られる感覚・見通しのなさが一度に重なるから。わがままでも、しつけの失敗でもありません。先に伝える・小さく分ける・場所を変える。定番のやり方でだめでも、その子に合う形は別のところにあります。
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