発達障害の子の夏休みの宿題が終わらない|読書感想文・自由研究、わが家の乗り切り方

夏休みの宿題に取り組む子と見守る母のイラスト ADHD長男の記録

📌 この記事でわかること

  • 夏休みの宿題が、発達障害の子にとって難しい本当の理由
  • ドリル・読書感想文・自由研究、それぞれのわが家の乗り切り方
  • 親はどこまで手伝うか——「待つ」を選んだ夏の話

7月の終わり、リビングのテーブルに積まれた宿題の山を見て、そっと目をそらしたことはありませんか。私は毎年、そらしていました。

ドリル、読書感想文、自由研究、絵日記。ADHDの長男とASDの次男にとって、夏休みの宿題は毎年、親子の一大イベントでした。しかも楽しくないほうの。

この記事では、生活リズムの話は横に置いて、「宿題」だけに絞って、わが家の乗り切り方をまとめます。

📚 なぜ夏休みの宿題は、発達の子に難しいのか

理由ははっきりしていると思います。夏休みの宿題は、発達の子が苦手なことの詰め合わせなんです。

まず、量が多くて、締切が遠い。「8月末まで」という締切は、長男にとって「無い」のと同じでした。締切が遠すぎると、実感がわかない。実感がわかないものには、手がつかない。ADHDの先延ばしは、なまけではなくて、遠くの締切が本当に「見えていない」に近い感覚だと思います。

つぎに、毎日コツコツが苦手。40日間、自分で配分して進める。この「自分で配分」が、計画立てが苦手な子には最難関です。

そして、いちばんの曲者が自由課題。読書感想文と自由研究。「自由に書いていいよ」「好きなことを調べていいよ」——一見やさしいこの言葉が、うちの子たちには一番の難問でした。正解も手順も見えない課題は、どこから手をつけていいかわからない。自由とは、見通しゼロということでもあるんですよね。

📅 ドリル系は「40日」を「今日の1枚」にする

計算や漢字などのコツコツ系で、わが家がやったのは小分けです。

カレンダーに、宿題を割り振ってしまう。「8月末までにドリル1冊」ではなく、「今日はこの見開き1枚」。40日先の締切は見えなくても、今日の1枚なら見える。見えるサイズまで刻んであげるのが、親の仕事でした。

終わったページやカレンダーの日付を、線で消していくのもポイントです。「進んでいる」が目に見えると、次男は特に安心して取り組めました。逆に、進み具合が見えないと、どれだけやっても終わりが見えなくて、途中で心が折れてしまう。

予定通りに進まない日があっても、責めない。1日サボったら翌日に2枚、ではなく、残りをまた割り直す。計画は破られる前提で、何度でも引き直す。それくらいゆるく構えたほうが、結局は最後までたどり着けました。

📖 読書感想文は「書かせる」より「聞き取る」

わが家の最難関は、読書感想文でした。

次男は、字は読めるのに、意味を取るのが難しいタイプです。本を1冊読んで、思ったことを原稿用紙に——という王道ルートは、そもそも入口の「読む」からハードルが高い。そして「思ったことを自由に書いていいよ」で、完全にフリーズします。何を書けばいいかわからないから。

だからわが家は、書かせるのをやめました。かわりに、質問して、話させて、それを書き取る形にしたんです。

「どの場面がいちばん面白かった?」「その人、なんでそんなことしたんだと思う?」「自分だったらどうする?」。ひとつずつ聞くと、ぽつり、ぽつりと答えが返ってくる。その言葉をメモして、「今しゃべったこと、そのまま書けば感想文だよ」と渡す。ゼロから書くのは無理でも、自分の話した言葉をつなぐことなら、できました。

本選びも大事でした。感想文向きの立派な本より、本人が興味を持てる本。読むこと自体がつらい子に、内容まで遠い本を渡したら、二重苦になってしまうから。

🔬 自由研究は「自由」を親が削る

自由研究も、考え方は同じです。「なんでも好きなことをやっていい」が一番難しいので、親が選択肢を2〜3個に絞ってから渡していました。

「今年はこの3つの中からどれにする?」。これだけで、フリーズは起きにくくなります。選択肢は、本人の好きなもの・興味のあることから拾ってくる。好きの延長にあるテーマなら、こだわりの強さが、むしろ深掘りする力に変わってくれることもありました。

テーマが決まったら、手順を先に一緒に決める。何を調べて、何をまとめて、画用紙に何を書くか。全体の設計図ができてから始めると、途中で迷子になりません。発達の子の自由研究は、「自由」の部分を親が少し削って、「研究」に集中できるようにしてあげるのがコツだと思います。

それから、意外な伏兵が絵日記や「夏の思い出」系の宿題でした。机に向かわせても、鉛筆が止まっている。聞いてみると、「何をしたか思い出せない」んです。長男は記憶が曖昧になりやすいし、次男は出来事を言葉にするのが苦手。楽しかったはずの一日も、いざ書くとなると出てこない。だからわが家では、写真を一緒に見返しながら「この日、何した?」「楽しかったのはどれ?」と聞いて、出てきた言葉をそのまま書く材料にしていました。思い出せないのは、やる気がないんじゃなくて、思い出して言葉にする作業が苦手なだけ。そこを親が手伝うのは、ずるじゃないと思っています。

🤔 どこまで手伝うか——「待つ」を選んだ夏もある

ここまで書いてきて、なんですが。親がどれだけ道を整えても、本人が動かない夏も、あります。

長男の中学時代がそうでした。夏休み、宿題そっちのけでダラダラ、ダラダラ。声をかければ「うるさい」。あの頃の私は、さんざん迷った末に、「言っても無駄」な時期は口を出さずに待つ、を選びました。親が騒ぐほど動かなくなる時期が、あの子には確かにあったから。

手を貸すか、待つか。この線引きに正解はないと、今でも思います。ただ、わが家の目安は「本人が困りごとを自覚できる年齢かどうか」でした。小学生のうちは、仕組みを親がつくる。中学生になったら、少しずつ手を引いて、失敗も含めて本人に返していく。きれいに移行できたわけではないけれど、方向としてはそう考えていました。

そして最後の関門が、「出す」です。せっかく終わらせた宿題を、始業式に持っていき忘れる。数日後、カバンの底からくしゃくしゃで発見される。提出物が苦手な長男には、これが本当に起こるんです。やったのに、出せない。いちばんもったいないつまずきですよね。だから、終わった宿題は1か所の袋や箱にまとめておいて、始業式の持ち物は前日の夜に親子でそろえて玄関へ。作ることと出すことは、別の力。出すところまでが宿題——そう考えて、最後のひと押しまで見届けるようにしていました。

🌻 全部、完璧じゃなくていい

最後に、これだけは書いておきたいです。

夏休みの宿題は、全部を完璧に出すことがゴールじゃない。40日かけて、「大きな課題を小分けにすれば進められる」という経験をひとつ持ち帰れたら、それはドリル1冊より価値があると思っています。

感想文が親子の合作になっても、自由研究のテーマを親が絞っても、いいんです。ひとりで全部できることより、「助けを借りたら最後までできた」という経験のほうが、あの子たちの先々でずっと役に立つはずだから。

宿題の山を前にため息をついている親御さんへ。まずはカレンダーに、今日の1枚を書き込むところから。この夏が、親子ともに無事に8月末へたどり着けますように。

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