発達障害の子と給食が心配——偏食・完食できない子に、わが家がしてきた学校との連携

給食を前に困る子に優しく話す先生のイラスト ASD次男の記録

📌 この記事でわかること

  • 偏食のある発達障害の子にとって、給食が難しい理由
  • 「完食させよう」としない、と決めたわが家の方針
  • 量の調整・無理強いしない配慮——学校への伝え方

4月の献立表が配られるたびに、私はまず、次男が食べられそうなメニューを探していました。

今日は食べられるものがあるだろうか。また残して、叱られていないだろうか。偏食のあるASDの次男を育てながら、給食は入学からずっと、頭の片隅にある心配ごとでした。

この記事では、家庭の食事の話ではなく、「学校の給食」に絞って、わが家の心配と、学校とどう連携してきたかを書きます。

🍽️ なぜ、発達の子に給食は難しいのか

給食のしんどさを分解すると、こうなると思います。

まず、偏食は感覚の問題だということ。食感、見た目、におい。どこかに引っかかると、次男は食べられません。「好き嫌い」という言葉で片づけられがちだけど、本人にとっては「無理をすれば食べられるもの」ではなくて、「体が受けつけないもの」に近い。わがままではないんです。

つぎに、初めての献立は見通しがないこと。家のごはんなら中身が分かるけれど、給食は日替わりで、知らないメニューがどんどん出てくる。見た目から中身が想像できない料理は、見通しの立たない食べ物です。慎重になるのは、あの子にとっては当然のことでした。

そして、みんなと同じ時間内に、みんなと同じ量をという前提。食べるのに時間がかかる子、量が食べられない子には、給食の時間そのものがプレッシャーになります。昔ながらの「完食指導」が残っている場面なら、なおさらです。

🍙 次男の偏食のこと

次男は、食べられるものが限られている子です。決まったメニュー——いつものおにぎりのような「安心できる食べ物」があって、そこに戻ってくる。初めてのもの、見た目や食感が予想と違うものには、なかなか手が出ません。

おもしろいのは、こだわりの中身が、ずっと同じではなかったことです。あんなに食べていたものを急に食べなくなったり、逆に、ずっと拒否していたものをある日ふっと食べたり。食べられるものが入れ替わりながら、長い目で見れば、少しずつ広がってきた面もあります。

偏食は、固定された壁ではなくて、ゆっくり動いていくもの。次男を見てきて、私はそう感じています。

🙅 「完食させよう」としない、と決めた

わが家の方針は、はっきりしています。完食を目標にしない、です。

無理に食べさせて一口飲み込めたとしても、その先にあるのは「食べられた」という自信ではなくて、「食事はこわい時間だ」という記憶だと思ったからです。食べることが恐怖になってしまったら、偏食どころの話ではなくなる。それだけは避けたい、と考えました。

もちろん、栄養は気になります。これだけで足りているのかと不安になった日は数えきれません。でも、追い詰めて食べさせても、食べられるものは増えませんでした。増えたのは、安心して食卓につけているとき。だからわが家は、完食よりも「食事の時間が嫌いにならないこと」を優先すると決めました。

🏫 学校への伝え方——量の調整と「無理強いしないで」

その方針を、学校にも伝えました。わが家は昔から、家庭で方針を決めて、親から学校に伝えるスタイルです。給食も同じでした。

伝えたことは、シンプルです。偏食は特性によるもので、わがままではないこと。食べられないものを無理強いしないでほしいこと。量をあらかじめ減らしてもらえると、本人が「食べきれた」を経験できること。

「減らしてください」とお願いするのは、最初は少し勇気がいりました。甘やかしていると思われないかな、と。でも、先生に特性ごと説明すれば、ちゃんと伝わりました。配膳の段階で量を調整してもらう、無理に勧めない。それだけで、給食の時間の負担はずいぶん違ったはずです。

もし今、お子さんが給食で追い詰められているなら、連絡帳の一筆でも、面談でもいい。「無理強いしないでほしい」は、親が言っていいお願いだと思います。

もうひとつ、長い休み明けは伝え直すのにちょうどいいタイミングです。クラス替えがなくても、担任の頭の中は新しい行事でいっぱいになっています。「夏休みのあいだ、家ではこれくらい食べられるようになりました」「これは今も苦手です」と、短く伝えておくだけで、9月の給食が始まってからの対応が変わります。年度はじめに一度言ったから大丈夫、とは思わないようにしてきました。先生は毎年変わらなくても、子どもの状態は変わっていくからです。

🏠 家でできること

家でやってきたことも、書いておきます。

まず、食べられた事実を、責めずに認める。「これしか食べてないの?」ではなく、「これは食べられたんだね」。同じ事実でも、かける言葉で、食卓の空気は変わります。

あたらしい食べ物への挑戦は、家で、少しずつ。安心できる家の食卓でなら、一口試せる日もある。学校で冒険させるより、家でゆっくりのほうが、うちの子には合っていました。

そして、焦らない。周りの子と比べれば、食べられるものの少なさに落ち込みます。でも、比べる相手は去年のわが子で十分。去年食べられなかった物がひとつ食べられていたら、それは立派な前進です。

家では、決まったメニューを繰り返すことが安心につながりました。同じおにぎり、同じパン。栄養のことを言えばもっと食べてほしいけれど、「いつもの」があると、そこを起点に少しずつ広がるのを何度も見てきました。新しいものを増やしたいときも、まったく別のものを出すより、いつものメニューの端に少しだけ添える方がうまくいきました。

⭐ここが大事!

偏食は好き嫌いではなく、感覚の問題です。だから「完食」をゴールにしないと決めました。学校に伝えるのは「量を減らしてください」「無理強いしないでください」の2つで十分。そして長い休み明けは、伝え直すのにいちばんいいタイミングです。

🌱 食べられるものは、増えていく

いつものおにぎりばかりだった次男も、中学2年になった今、食べられるものは幼児期よりずっと増えました。劇的な変化ではなく、入れ替わりながら、ゆっくりと。偏食の子の「食べられる世界」は、時間をかけて広がっていくものなんだと思います。

それでも栄養や体の成長が心配なときは、ひとりで抱えずに、かかりつけの先生や専門家に相談していいと思います。「偏食くらいで相談していいのかな」と迷うかもしれないけれど、大丈夫。心配ごとは、相談の立派な理由です。

今日も献立表とにらめっこしているお母さんへ。給食の合格ラインは、完食じゃなくていい。あの子が給食の時間を嫌いにならずに帰ってくること。まずはそこから、で十分だと思っています。

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