発達障害の子が水を飲まない|ADHD・ASD別の理由と熱中症対策【幼児〜中学生】

子育ての工夫

📌 この記事でわかること

  • 発達障害の子が水を飲まない理由——ADHDとASDで原因が違う
  • のどが乾いても気づかない「内受容感覚」の弱さとは何か
  • 家庭でできた工夫と、学校・保育園との連携で感じた限界と割り切り

真夏の保育園から帰ってきた長男の水筒を開けると、ほとんど減っていなかった。

「水分のこと先生に声掛けお願いしてたんだけどなあ・・・」と思って翌日先生に聞くと、「声かけはしているんですよ〜、またもっと言いますね!」と明るく返ってきた。

それ以上は言えなかった。

うちには発達障害の子が2人います。ADHD不注意優勢型の長男(現在高専2年)と、ASD次男(中学2年)。2人とも水分補給がとにかく苦手で、保育園から小学校まで、毎年夏が来るたびに水筒の中身を心配してきました。

そして2人とも、熱中症で倒れた経験があります。

😰 2人とも熱中症になった——あのときのこと

長男が保育園のとき、夏の外遊びのあとにぐったりして帰ってきました。顔が真っ赤で、「頭が痛い」とソファに倒れ込む。水筒はほぼ満タン。体温を測ると高く、すぐに水分を飲めるだけ飲ませて身体を冷やし、病院に連れて行きました。熱中症の診断でした。

次男も同じような夏に、保育園で発熱し迎えに行くと横になり、嘔吐しました。やはり水筒の中身は半分以上残っていた。

2人続けて同じことが起きたとき、「これは意志の問題じゃない」と確信しました。飲む気があれば飲んでいる。でも飲んでいない。「飲もう」という気持ちが起きていないんだと。

😶 「飲みなさい」が通じない——発達障害の子が飲み物(飲料)を飲めない理由

「のどが乾いたら飲むでしょ」と思いますよね。私も最初はそう思っていました。

でも発達障害の子は、「のどが乾いた」という感覚自体に気づきにくいことがあると、後から知りました。

これは内受容感覚(ないじゅようかんかく)と呼ばれる、体の内側の感覚に関係しています。

内受容感覚とは、のどの渇き・空腹・体温・尿意など、体の中から来るサインをキャッチする感覚のこと。発達障害のある子どもは、この内側の感覚も「受け取りにくい」「気づきにくい」傾向があると言われています。

つまり「飲みたくない」のではなく、「飲まなきゃいけないほど乾いていることに気づいていない」——そういう状態なんです。

⭐️ここが大事!

「飲みたくない」のではなく「乾いていることに気づいていない」。だから叱っても意味がない。仕組みを理解した上で、声かけや環境づくりで補うことが大切です。

📋 ADHDとASD、水が飲めない「理由」が違う

長男(ADHD)の場合:忘れる・意識が向かない

ADHDの特性として、今この瞬間に意識が集中しやすく、自分の体の状態を定期的に確認するという自己モニタリングが苦手な傾向があります。

「あ、水筒あった」と思っても、次の瞬間には遊びや話に意識が飛んでいる。のどが乾いているかもしれないけれど、それを「確認する」という行為に注意が向かないのです。

声をかけてもすぐ飲むことはなく、水筒はいつも重いまま帰ってきた。家での約束「夕方には空っぽにしようね」も、長男にはなかなか定着しませんでした。

さらに長男はキンキンに冷えた飲み物しか受け付けません。温くなった水は「無理」と飲まない。冬でも氷入りのお茶です。今は高専の寮に申請して部屋に保冷庫を置かせてもらい、私がAmazonで定期的に水やお茶を送って飲むよう声かけしています。寮に入ってから自分で管理できるようになってきた部分もありますが、それでも補充が届かないと飲まなくなる。完全に自立するまでは、こっちがサポートの形を変えながら関わっています。

次男(ASD)の場合:感覚が届きにくい+ルールで動ける

ASDの特性として、感覚の受け取り方に独自性があります。次男の場合、のどの渇きのシグナルがキャッチされにくく、特に活動中は全く気にならないようでした。

家では「コップ渡して飲んでね」と声をかけると少し口をつける程度。でも頻繁に促すと、それなりに飲めていた。

転機は「約束」でした。「水筒を空っぽにして帰ってきたらすごい!」という目標を作ったところ、次男は「今日空やで!」と誇らしげに水筒を見せてくれるようになりました。ASDの子はルールや目標が明確だと動きやすい——次男でそれを学びました。

ただ、帰宅後に慌てて一気飲みしていることもあって、それはそれで心配したりもしましたが……😅 それでも水筒の中身が空になって帰ってくる日が増えたのは、大きな変化でした。

🏫 保育園・学校への働きかけ、「これ以上言えない」のリアル

「水を飲むよう促してほしい」と先生にお願いしたことは何度もあります。

返ってくる答えはいつも同じ。「声かけしていますよ、もっと言いますね」。

その言葉に嘘はないと思う。でも集団の中で1人の子の水分補給を特別に管理してもらうのは、現実的に難しい。先生も他の子どもたちを見ながら動いているのだから。

だから私がたどり着いたのは、「学校や保育園に頼りすぎない」という割り切りでした。

家でできる仕組みを整える。約束を作る。習慣にする。学校では「なるべくお願い」のスタンスで、完璧は求めない。

それでも毎年夏が来るたびに、水筒の中身をドキドキしながら確認している自分がいます。

💡 家庭で効果があった工夫(幼児〜中学生まで使える水分補給のコツ)

✅ 渡す側が動く(待たない)
「のどが乾いたら自分で飲む」は期待しない。コップや水筒を目の前に持っていき、「はい、飲んで」と声をかける。

✅ 目標・約束を作る(特にASDの子に有効)
「夕方には空っぽ」「帰ったら全部飲もう」など、明確なゴールがあると動きやすい。達成できたら大げさに褒める。

✅ 好みに合わせた飲み物・容器を用意する
長男はキンキンに冷えた飲み物じゃないと飲まない。それならそれに合わせる。好みに合わせた方が実際に飲んでくれる。

✅ タイマーやアラームで「飲む時間」を作る
自己モニタリングが難しい子には、外側から「今飲む時間だよ」と合図を作ることが有効です。学校では難しくても、家でタイマーをセットして「鳴ったら水を飲む」習慣を作るだけでも変わります。

✅ 成長に合わせてサポートの形を変える
本人が自分で管理できる年齢になってからは、「補充を送る」という形でサポートを変えました。送ってあげれば飲む、という状況を作る。完全に手を離すのではなく、関わり方を変えていくのが私のやり方です。

👶 年代別に変わる「水分補給の悩み」とコツ【幼児・小学生・中学生】

ひとことで「飲まない」と言っても、年代によって悩みも、効くやり方も変わってきます。発達障害の子を2人育てて感じた、時期ごとのポイントをまとめました。

幼児期(保育園・幼稚園)|「飲む習慣」そのものが育ちにくい

幼児のうちは、のどの渇きに気づきにくいうえに、遊びに夢中で水分どころではありません。わが家は2人とも、この時期に熱中症を経験しました。
この頃に効いたのは「時間で区切る」こと。のどが渇いたら飲む、ではなく、「おやつの前」「公園から帰ったら」と、生活の流れにコップ1杯を組み込みました。本人の感覚にまかせず、大人がタイミングを作るのがコツです。

小学生|自分で気づけない・言い出せない

小学生になると活動量が増えますが、「のどが渇いた」と自分から言える子ばかりではありません。次男(ASD)は感覚として気づきにくく、長男(ADHD)は気づいても他のことに気を取られて忘れてしまいます。
この時期は、水筒を目につく場所に置いたり、「1時間目のあとに一口」と先生にお願いしたりと、“思い出すきっかけ”を環境に仕込むのが効きました。

中学生(思春期)|声かけが届きにくくなる

中学生になると、親の声かけを嫌がるようになります。長男は中学時代、水分が取れずに脱水になったこともありました。
思春期は「飲みなさい」より、本人が自分で管理できる仕組みに切り替える時期。好きな飲み物を選ばせる、部活用に大きめの水筒を持たせるなど、“自分ごと”にする工夫が必要でした。

🥤 どんな飲み物なら飲める?脱水を防ぐためにわが家で試したもの

「いつ飲むか」と同じくらい、「何を飲むか」も大事でした。水が苦手でも、これなら飲めた、というものを紹介します。

  • 麦茶・少し味のあるお茶:「水」だと飲まなくても、麦茶ならその気になる日がありました
  • 経口補水液:汗をたくさんかいた日や、ぐったりしているとき。脱水のサインを感じたら早めに飲ませました
  • ゼリー飲料・凍らせた水筒:「飲む」が苦手でも「食べる・なめる」感覚なら受け入れやすいことも
  • 本人に選ばせる:自分で選んだ飲み物だと、不思議と口に運ぶ回数が増えました

飲み物を変えるだけで「飲める量」が変わることがあります。いろいろ試して、その子の“飲めるもの”を見つけてあげてください。

✅ まとめ

❌ 水を飲まない=わがまま・飲む気がない
✅ のどの渇きに気づきにくい「内受容感覚」の特性がある

❌ ADHDもASDも同じ理由で飲めない
✅ ADHDは「忘れる・意識が向かない」、ASDは「感覚が届きにくい」——原因が違う

❌ 学校や保育園に全部お願いできる
✅ 集団の中では限界がある。家庭で仕組みを作るのが現実的

「飲みなさい」と言うたびに罪悪感を覚えていた時期もあった。どうして飲めないのか、私の関わり方が悪いのかと。

でも特性を知ってから、少しだけ楽になりました。この子たちはのどが乾いていないのではなく、乾いていることに気づきにくい。だから仕組みで補う。そう思えたら、向き合い方が変わりました。

毎年夏が来るたびに「今年はどうかな」とドキドキする気持ちは変わらないけれど、少しずつ一緒に工夫を積み上げてきました。同じ悩みを持つお母さんに、少しでも参考になれば嬉しいです。

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