発達障害の子が行動できない・マイペースな理由|ADHDの時間盲・ASDの回復時間を親が理解するために

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📌 この記事でわかること

  • ADHDとASDで「行動が遅い・マイペース」の理由がまったく違う
  • 「時間盲」「実行機能の困難」など脳の特性から理解する
  • 急かしても変わらない理由と、うちで効果があった対処法

「なんでこんなにギリギリなの?」

「もう出る時間だよ、早く!」

毎朝そう言い続けて、何年経っただろう。

急かしても、怒鳴っても、前日から伝えても——変わらない。

ゆっくり歯磨きをして、のんびり着替えて、まだ出ない。本人はまったく焦っていない。その顔を見るたびに、こっちの血圧が上がっていました。

うちには2人、発達障害の子がいます。ADHDの長男と、ASDの次男。どちらも「行動が遅い・マイペース」という特性があります。でも、よく調べてわかったのは——この2人の「遅さ」は、脳の中で起きていることがまったく違うということでした。

その違いを知ったとき、急かすことをやめる決意ができました。今日は、そのことを書きます。

⏰ ADHDの「行動が遅い」は「時間盲」という特性

長男の行動の遅さを理解するうえで、一番助けになった概念が「時間盲(Time Blindness)」です。

ADHDの研究者として世界的に知られるラッセル・バークレー博士が提唱した概念で、ADHDの人は「今」しか感じられないという状態を指します。

普通の人は、頭の中に「過去・現在・未来」の時間軸があって、「10時に出かけるから9時半には準備しよう」という逆算ができる。でもADHDの子は、この時間軸がとても曖昧で、「今・すぐ」と「今じゃない」の2つしかないと言われています。

「10時に出かけるよ」と前日に伝えても、長男にとってその情報は「今じゃない」カテゴリに入ってしまう。

そして10時になって「もうみんな待ってるよ」と言われて初めて「今」になる。

だから急がないんじゃなくて、その瞬間まで「急ぐべき今」が来ていないんです。

⭐️ここが大事!「なんでもっと早くから動かないの」は、本人にとって「なんで未来のことに今動くの?」と同じに聞こえている。

🧠 ADHDのもう一つの壁「実行機能の困難」

時間盲と合わせて知っておきたいのが、実行機能の困難です。

実行機能とは、「目標に向けて行動を計画・開始・調整する力」のこと。

長男が「早く起こされていても着替えもしないでゆったり携帯を見ている」のは、なまけているんじゃなくて、「準備を始める」という行動のスタートを自分で切れない状態にある。

エンジンはあるのに、セルモーターが壊れている車、とでも言えばいいでしょうか。

外から「エンジンかけて!」と言っても、セルモーターが動かなければ走り出せない。「外部からの強いトリガー(10時になった・遅刻しそう)」がないと、行動が始まらないんです。

中学時代、家を出るのが毎日きっかり8時26分だったのも、そこが長男の「行動スタートのトリガーが発動するギリギリのポイント」だったから。意図してそうしているわけじゃない。脳がそうなっている。

⭐️ここが大事!「なまけ」ではなく「スタートのスイッチが入らない」状態。急かす回数を増やしても、スイッチは入らない。

🌿 ASDの「マイペース」は「回復時間」の必要性

次男の場合は、長男とは別の理由があります。

ASDの子は、社会的なやりとりや集団の中での活動に、普通の何倍ものエネルギーを使います

学校での一日、部活での集団行動——それだけで、感覚的・社会的な疲労が相当積み重なっている。

帰宅後に「ゆっくりしたい」「音楽を聴いていたい」「絵を描いていたい」というのは、消耗したエネルギーを回復させるために必要な時間なんです。

大人に置き換えると、フルマラソンを走り終えた直後に「ご飯だよ、早く来て」と言われる感覚に近い。「もう少し休ませて」は、わがままじゃなくて、本当に必要な要求なんです。

次男が「もう少しー」と言いながら夕食に来るのが遅いのも、音楽や絵が「楽しいから」だけじゃなくて、それが彼の神経系を落ち着かせるルーティンでもある。

⭐️ここが大事!ASDの子の「ゆっくりタイム」はサボりじゃなく、翌日また動くための充電時間。

📖 うちの長男の話

中学時代、8時半始業の学校に、家から歩いて10分(走れば5分)の距離に住んでいました。

1時間前から起きている。

それでも家を出るのは毎日8時26分。

早く起こしても、着替えをせず携帯を見ている。歯磨きはゆったり。準備ができても、まだ出ない。

「あと5分早く出れば毎日間に合うのに」「なんで1時間前から起きてて間に合わないの」と何度言ったかわかりません。

でも今ならわかる。長男には「8時26分」という、脳が行動スタートを認識するポイントがあった。それより前は、どんなに時間があっても「今じゃない」だったんです。

高専に入って一人暮らしを始めたら、遅刻ゼロで通学できた——という事実がその証拠だと思っています。自分が「困る」という外部トリガーが、毎朝確実に機能するようになったから。

📖 うちの次男の話

部活がある平日は18時頃に帰宅します。

お風呂はすぐ入るものの、そこからがゆっくりモード。

夕食の準備ができても「もう少しー」と音楽を聴きながら絵を描いている。食後もまったり。

最初は「だらだらしてる」と思っていました。でも次男にとって、その時間はリセットに必要な時間。学校と部活で使い果たした神経を回復させている時間。

「早く来て」と急かしてもいいことは何もなかった。むしろ次男のペースを守ってから声をかけると、その後はすっと動く。

急かすより待つ方が、結果的に早い——これは次男から学んだことです。

❌ やってはいけない対応

毎回同じように急かし続ける
→ 効果がないとわかっているなら、急かすのは消耗するだけ。

「なんで毎回こうなの」と責める
→ 本人に「なぜそうなるか」の自覚がないため、責められても改善しない。傷つくだけ。

ASDの子の「ゆっくりタイム」を削る
→ 回復時間を取れないと、夜の情緒が不安定になったり、翌日のパフォーマンスが落ちる。

「他の人のことを考えて」と言い続ける
→ ADHDの子は、今この瞬間に「他者の時間感覚」を想像することが脳の働きの特性から難しい。言葉では届かない。

✅ うちで効果があった声かけと対処法

ADHDの長男に効いたこと

① トリガーを外部に作る
「10時に出発」ではなく「9時55分にアラームをセット、鳴ったら即靴を履く」と決める。本人のアラームが「行動スタートのセルモーター」になる。

② 前日の準備をルーティンにする
持ち物・着替えを前日夜に出しておくことをルールにする。「準備をする」という実行機能の負荷を、余裕のある前夜に前倒しする。

③ 「間に合わない体験」をあえてさせる
親が全部助けると、トリガーが外から来ない。本人が「困った」と感じることが、一番強いトリガーになる。(難しいですが、長い目で見ると大事)

ASDの次男に効いたこと

① 帰宅後30〜45分は黙って待つ
声をかけないで待つ。その後「そろそろご飯できるよ」と一言だけ言う。

② 夕食の時間を少し遅らせた
18時帰宅なら19時〜19時半スタートにした。充電時間を先に確保したら、呼んだらすぐ来るようになった。

③ 土日のゆっくり時間を「必要なこと」として扱う
「だらだらしてる」ではなく「充電中」と頭を切り替えた。親がそう思えるだけで、声のトーンが変わる。

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🌱 「急かすこと」より「仕組み」で解決する

2人の育児を通じて、気づいたことがあります。

急かしても変わらないのは、子どもの意志の問題じゃなくて、脳の構造の問題。

だとしたら、口で何度言っても変わらない。変えるべきは「声かけの回数」じゃなくて「仕組み」なんです。

外部トリガーを作る。準備を前倒しする。回復時間を先に確保する。

うちはそれに気づいてから、朝の怒号が減りました。全部解決したわけじゃないけれど、「これは脳の特性だから」と思えるだけで、自分が消耗しなくなった。

それだけでも、だいぶ楽になれます。

✅ まとめ

❌ 「何度言っても変わらない」のは意志や反抗の問題ではない
✅ ADHDの「遅さ」は時間盲・実行機能の困難が原因
✅ ASDの「マイペース」は感覚疲労の回復に必要な時間
✅ 急かしても変わらないなら、変えるべきは「仕組み」
✅ 回復時間を先に確保した方が、結果的に動きが早くなる
✅ 「脳の特性」と理解できると、親の消耗がぐっと減る

急かし続けて疲れているお母さんへ。あなたがくたびれるのは当然です。今日も十分戦っています。

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