ADHDの長男が高専を目指した理由——「寮のご飯」から始まった1年半の記録

ADHD長男の記録

📌 この記事でわかること

  • ADHDの長男が「高専に行く」と言い出したきっかけ
  • やる気スイッチが入った意外な理由と、18万円の教材を即決した話
  • 偏差値50以下から偏差値61の高専に合格するまでの1年半の記録

※本記事にはPRが含まれます

「高専に行く」

中学2年の3月、長男が突然そう言いました。

当時の長男は、勉強にまったくやる気がなく、塾に行っても「ただそこにいるだけ」の状態。
半分くらい「またすぐ忘れるだろう」と思っていました。

でも、今回は違いました。

やる気スイッチを押したのは「寮のご飯」だった

きっかけは、1つ上の友達でした。

ちょうど高専に合格したその子が、寮の写真や食堂のメニューを見せながら「1年あれば来れるよ」と誘ってくれたらしい。

刺さったのは「勉強の話」でも「将来の話」でもなく——「寮のご飯」でした。

毎日ご飯が出てくる寮生活。その具体的なイメージが、長男の何かに火をつけた。

私がどれだけ言葉を尽くしても動かなかった長男が、友達の一言と一枚の写真で動いた。
笑ってしまいましたが、それが現実でした。

中3の1学期——やる気が出たと思ったら、すぐ失速した

中3の1学期中間テスト。
長男の点数は、5教科合計でいつもより約100点高かった。

私はびっくりしました。「本気になったんだ」と思った。

でも期末テストあたりから元に戻り、夏休みはダラダラ過ごしていました。

私はそのとき「言っても無駄」と判断して、何も言いませんでした。
口を出したくなるのをぐっと抑えて、ただ待った。

焦れったかったけれど、動かせようとするほど長男が遠ざかる、というのはもう学んでいたから。

9月のオープンキャンパス——もう一度スイッチが入った

中3の9月、高専のオープンキャンパスに行きました。

実際の学校を見て、在校生の話を聞いて、長男の目が変わった。
「行きたい」という気持ちが、また戻ってきた。

でも「何をすればいいかわからない」状態が続いていました。

高専の入試は、公立高校と出題傾向がまったく違います。
普通の塾教材では対応できない部分が多い。
「頑張りたいけど、何を頑張ればいいかわからない」——そのもどかしさが長男にはあったと思います。

18万円の教材を「自分から買ってほしい」と言った日

そんなとき、夫が高専専門の動画学習サービスを見つけて長男に見せました。

すると長男が言ったんです。

「これを買ってほしい」

長男が自分から「買ってほしい」と言ったのは、初めてのことでした。
金額は約18万円。

一瞬だけ迷いました。
でもすぐに決めました。「塾代も1回10万以上かかってた。自分でやると言ったなら信じよう」と。

長男は、その教材の動画をちゃんと見ました。
塾に行かされていたころとは、目の色が違っていた。

⭐️ここが大事!

ADHDの子どもは「やらされること」より「自分で選んだこと」に動きやすい特性があります。18万円の即決は、長男を信じた親の選択でした。

塾の回数を「自分で決めた」長男

それまで週2〜3回通っていた個人塾。

長男は自分から「週1にする」と言いました。
1月からは休会にする、とも。

塾の回数については、全部長男が決めました。
私は何も言っていない。

動画学習に集中したかったんだと思います。
自分で「これが必要」「これはいらない」を判断して動いた。

怖くなかったと言ったら嘘になります。
受験3ヶ月前に塾を減らすなんて、普通は逆のことをする時期です。

でも長男の「自分で決めた」を信じることにしました。
それが今の長男に必要なことなら、口を出さない。
これも、長男と過ごした年月で学んだことでした。

1月に推薦不合格、2月に一般で合格

1月の推薦入試は不合格でした。

2月の一般入試で、合格しました。

偏差値50以下から、偏差値61の高専へ。

合格通知を見たとき、正直実感がなかった。
あの「寮のご飯」から始まった1年半が、本当にここまで来たんだと。

📅 長男の受験期1年半——月別に振り返ると見えてくること

「高専に行く」と言い出してから合格まで、実際にどんな流れだったか。
月ごとに整理してみると、ADHDの子の受験のリズムが見えてきます。

中2の3月:「高専に行く」と突然宣言。友人の一言がきっかけ。
中3の1学期:やる気が出て5教科合計が約100点アップ。「本気になった!」と思ったのも束の間、期末から失速。
夏休み:ダラダラ過ごす。私は口出しせずに待つ。
9月:オープンキャンパスで再点火。でも「何をすればいいかわからない」状態。
:高専専門の動画学習サービスに出会い、自分から「買ってほしい」と言う。週2〜3の塾を週1に自分で減らす。
1月:推薦入試。不合格。
2月:一般入試。合格。

ADHDの子の受験期は、「やる気が出た!」「失速した」「また戻ってきた」の繰り返しになりやすい。
直線的に上がっていかなくても、それは「ダメな子」ではなく「ADHDのリズム」です。

⭐️ここが大事!

「モチベーションの波がある」のはADHDの特性のひとつ。波を消そうとするより、「波が来たときに動ける環境」を整えておくことが、親にできる最大のサポートだと思っています。

🤝 入寮後の長男——親が拍子抜けした変化

高専に合格して、4月から入寮した長男。

正直、寮生活が始まる前は心配でいっぱいでした。
水分補給が自分でできない。忘れ物が多い。朝は起きられない——中学時代はそんな状態だったから。

でも、入寮してから聞こえてくる話が想像と違いました。

「遅刻なし」「自分で起きている」「ご飯もちゃんと食べている」

拍子抜けしました。「あれ、うちの子ってこんなにできる子だったの?」と。

後から気づいたのですが、長男にとって「自分でやるしかない環境」がむしろ合っていたんだと思います。
家にいると「お母さんがやってくれる」「声をかけてくれる」という甘えがある。
でも寮では本人が動かないと誰も動かしてくれない。
その「やるしかない感」が、逆に長男の自立を引き出したのかもしれません。

ADHDの子に「自分でやりなさい」と言い続けても難しかったことが、環境を変えることでできるようになる——。
これは、長男が入寮して一番大きく学んだことです。

💡 ADHDの子の受験で親がやって良かったこと・やらなくて良かったこと

長男の受験を終えて、「これはやって良かった」「これはやらなくて良かった」と思うことを書いておきます。

やって良かったこと

  • オープンキャンパスに一緒に行った(本人が「行きたい」と確認できる場を作った)
  • 高専専門の動画学習サービスへの投資を迷わず決めた
  • 「塾を減らしたい」という長男の判断を尊重した
  • 夏の失速期に何も言わず待った

やらなくて良かったこと(やっても無駄だったこと)

  • 「勉強しなさい」と毎日声をかける(関係が悪化するだけ)
  • 親が先回りして学習計画を立てる(本人が関わらないと動かない)
  • 他の子と比べる(「〇〇くんはもう過去問やってるよ」は逆効果)

「親が何もしない」のが正解ではありません。
でも「親が先にやりすぎない」ことが、ADHDの子の自走につながることがある。
そのバランスを探り続けた1年半でした。

振り返って思うこと

長男の受験を通じて、私が感じたことを3つだけ。

① やる気スイッチは「具体的なイメージ」にある
勉強の大切さより、寮の食堂のメニューが長男を動かした。ADHDの子のモチベーションは、論理より「見えるもの」「感じられるもの」に宿ることが多い。

② 「言っても無駄な時期」は、待つしかない
夏の失速を見て何も言わなかったのは、言っても無駄だと知っていたから。タイミングを待つのも、親の仕事だと思っています。

③ 「自分で決めた」を信じる
塾を減らすことも、教材を選ぶことも、全部長男が決めた。それを信じて口を出さなかったことが、結果的に長男の自走につながったと思っています。

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❌ やる気の波を無理に作ろうとしない
⭕ 具体的なイメージ(見学・体験)がやる気に火をつける
⭕ 「本人が自分で選んだ」環境が学習の継続につながる

発達障害の子の進路って、本当に先が見えなくて怖いですよね。
うちも「本当にこれで大丈夫?」と何度も思いました。

でも長男が自分で選んで、自分で動いて、自分で合格をつかんだ。
その事実が、今の私の一番の支えになっています。

同じように悩んでいるお母さんに、少しでも届いていたら嬉しいです。

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