自閉症の子は「相手の気持ち」がわからない?心の理論テスト「サリーとアン課題」を家で試してみて

発達障害 基礎知識

※本記事にはPRが含まれます

📌 この記事でわかること

  • 「心の理論」とは何か、なぜASDの子に難しいのか
  • サリーとアン課題の問題と、ASDの子の答えの例
  • 日常の声かけにどう活かすか

「なんでそんなこと言うの?」がわからない子 🤔

「意地悪で言ってるわけじゃないのに、なぜ傷つけるようなことを言うんだろう」

「相手がどう思うか、想像できないのかな」

発達障害のある子を育てていると、こんな場面に何度もぶつかります。これ、「わざとやっている」わけじゃなくて、相手の気持ちを想像するための仕組みが、うまく働きにくいことが理由の一つなんです。

今日はその仕組み「心の理論」と、家で試せる「サリーとアン課題」を紹介します。

「心の理論」ってなに? 🧠

「心の理論(Theory of Mind)」とは、他人には自分と違う考えや信念があると理解できる力のことです。

たとえば——「お母さんは今、財布がどこにあるか知らない。だから聞けばいい」「友達はまだ知らないはずだから、教えてあげよう」

こういう「相手の頭の中を想像する」ことが、心の理論です。定型発達の子は4歳前後から自然に育っていきます。でもASDの子は、この発達がゆっくりだったり、独特の形で育っていくことがあります。相手の視点に立つことが難しいんです。

サリーとアン課題、やってみよう 🧪

発達心理学の世界で有名な「サリーとアン課題」。人形やぬいぐるみを使って、子どもと一緒に試せます。

準備するもの:人形2体(サリーとアン)・小さいボール・かご・箱

サリーはかごを持っています。アンは箱を持っています。
サリーがボールをかごの中に入れて、外へ出かけました。
サリーがいない間に、アンがボールをかごから取り出して、箱の中に入れました。
サリーが帰ってきました。

Q. サリーはボールを取り出そうとします。どこを探すでしょう?

少し考えてみてください。

⭐️ ASDの子がよく返す答えの例

「箱の中」
→ ボールが今どこにあるか(事実)は知っている。でも「サリーは知らない」という視点が持てないため、自分が知っている場所を答えてしまう。

定型発達の子の答え:「かごの中」(サリーはそこに入れたと思っているから)

なぜ違う答えになるの?

これが「心の理論」の核心です。正解するには「サリーはボールが移動したことを知らない」というサリーの視点に立たなければいけません。

ASDの子は「ボールは箱にある(事実)」を答えてしまいます。事実は正確に把握しているのに、「相手が知っていること・知らないこと」が切り分けられない。悪意でも不注意でもなく、脳の処理の仕組みの違いです。

次男と試してみた話 👦

うちの自閉症中2次男は今、だいぶ他者の視点が読めるようになってきました。

でも小学校低学年の頃は、友達への声かけがちょっと独特で。知っていることを相手も当然知っていると思って話すから、前提の説明がまるごと抜ける。「あれ、あれ!」と言われても、こちらはポカンとするしかない(笑)。

サリーとアン課題を試したのは小4の頃でしたが、そのとき次男は「箱!」と即答しました。「でもサリーは知らないよ」と言ったら、しばらく考えて「……かご?」と答えた。論理で解こうとしている感じがして、この子らしいなと思いました。

日常の声かけにどう活かすか 💡

心の理論が育ちにくいと、こんな場面で困ることがあります。

  • 友達が傷ついているのに気づかず話し続ける
  • 「知ってる?」「聞いた?」のような確認なしに話す
  • 相手が怒っているのに、そのまま同じことを繰り返す

「わかってほしい」気持ちはあるのに、伝え方がずれてしまう。

⭐️ 親にできること

「相手はこれを知ってる?知らない?」を日常会話で一緒に考えるクセをつける。「〇〇ちゃんはまだ聞いてないよね、どうやって伝える?」と問いかけるだけで練習になる。

「心の理論」は、練習と経験でゆっくり育っていきます。焦らなくて大丈夫。

📅 心の理論はいつごろ育つ?——次男を見ていて感じたこと

定型発達の子は、4歳ごろから「相手の視点」が育ちはじめるといわれています。

ASDの子は時期がずれることがある。独特の形で少しずつ発達していくこともある。「全員が同じタイミングじゃない」というのが、実感としてあります。

次男が「サリーはかごを探す」と答えられるようになってきたのは、小学校高学年ごろでした。早いわけじゃなかった。でも確実に変わってきた。

小1でIQ85だったものが小5で113になったのと同じように、IQが上がるとともに心の理論も少しずつ育ってきた感覚があります。環境と関わりが積み重なると、変わっていく。

「今は難しくても、ずっとこのままではない」——これは、次男を育てる中で実感してきたことです。

🗣️ 心の理論が育ちにくいと実際こんな場面が起きる

「昨日ゲームで負けて悔しかった」と話す前に、「そのゲームを相手が知っているかどうか」を確認しない。最初から話が通じない状態になってしまう。

「見てたでしょ!」——相手が別の方向を向いていたことに気づかずに言う。見えているはずだと思い込んでいる。

友達に「これ、先生に言ったらまずいよ」と言っても、言葉の意味はわかる。でも「先生に言ったらどうなるか」を相手の立場から想像するのが難しい。

悪気がないから、説明が難しい。でも「わざとじゃない」とわかれば、こちらの対応も変わります。「なんでそんなことするの!」ではなく、「こういう場面ではこうするといいよ」という伝え方に切り替えられる。

💬 次男が最近できるようになってきたこと

「これ知ってる?」と話す前に前置きするようになってきました。相手が知らない可能性を、少し考えられるようになってきた。小さなことだけど、大きな変化だと思っています。

家庭教師の先生に「先生はこれ好き?」と聞けるようになりました。相手の気持ちや好みに興味を持てるようになってきたんだな、と感じます。

バスケ部でチームメンバーの様子を気にかける言葉が増えてきました。「〇〇、なんか今日元気なさそうだった」——そういうことを話してくれる。

全部できるようにならなくていい。できることが少しずつ増えていく過程を見守ることが、親にできることだと思っています。

📚 発達障害の人が見ている世界

「心の理論」「相手の気持ちがわからない」という特性を、当事者の視点からわかりやすく解説した一冊。なぜそう感じるのかが腑に落ちる本です。

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まとめ ✅

  • 「心の理論」とは他人の視点・気持ちを想像できる力
  • ASDの子はこの発達がゆっくりなことがある
  • サリーとアン課題で「相手視点の難しさ」を体感できる
  • 日常の声かけで少しずつ練習できる

相手の気持ちがわからないのは、冷たいからじゃない。処理の仕方が違うだけです。その子なりのペースで、ちゃんと育っています。少しでも参考になれば嬉しいです。

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