※本記事にはPRが含まれます
📌 この記事でわかること
- 自閉症の子が比喩・皮肉を理解しにくい理由
- 家でできる「比喩・皮肉テスト」の問題と答えの例
- ASD次男と試してみてわかったこと
「言葉を文字通りに受け取る」ってどういうこと? 🤔
「腹が立つ」と言ったら、「お腹が立つの?」と真顔で聞いてきた。
「目から鱗が落ちた」と聞いて、「魚の鱗?」と言った。
「あなたって本当にのろまね」と言ったら、「ぼく、のろまじゃない」と傷ついた顔をした。
こういう経験、ありませんか?
ASD(自閉スペクトラム症)の子は、言葉を文字通りに受け取る傾向があります。
比喩(たとえ話)や皮肉(言葉と反対の意味)は、実は複雑な「言葉の裏読み」が必要なんです。それが、ASDの子には難しいことがある。
今日は「比喩・皮肉テスト」を実際に試しながら、どんな答えが返ってくるか、なぜそうなるのかを一緒に見ていきましょう。
比喩・皮肉テストってなに? 📋
「比喩・皮肉テスト」とは、言葉の裏の意味を理解できるかどうかを確認するテストです。
発達心理学の研究でも使われていて、ASDの子の言語理解の特性を見るのに役立ちます。
むずかしそう…と思うかもしれませんが、問題自体はとてもシンプル。
子どもと一緒に「ちょっとしたクイズ」として試せます。
怖くないです。答えに正解・不正解があるというより、どう考えるかを知るためのもの。ではさっそくやってみましょう。
実際の問題を試してみよう 🧪
【問題①:皮肉】
タロウくんは算数のテストで全問まちがえてしまいました。先生は「すごいね、パーフェクトだ!」と言いました。
Q1. 先生はなぜそう言ったのでしょう?
Q2. 先生の言っていることは本当ですか?
⭐️ ASDの子がよく返す答えの例
「全問正解したから。本当のことを言っている」
→「パーフェクト=完璧=全部正解」と文字通りに解釈。先生が皮肉を言っているとは思わない。
定型発達の子の答えの例:「全部まちがえたのをからかって言っている。本当のことじゃない」
皮肉は「言葉と逆のことを言う」という暗黙のルールです。ASDの子は「言われた言葉=事実」として処理するので、「パーフェクト」と言われたら「パーフェクトなんだ」と受け取ってしまう。
【問題②:比喩】
ユキちゃんはピアノがとても上手です。発表会のあとに先生が「あなたの指は魔法使いみたいだね」と言いました。
Q1. ユキちゃんの指は本当に魔法使いの指ですか?
Q2. 先生はなぜそう言ったのでしょう?
⭐️ ASDの子がよく返す答えの例
「魔法使いじゃない。先生は嘘をついている」
→「魔法使いみたい」を比喩と理解できず、事実に反することを言われたと感じる。
定型発達の子の答えの例:「とても上手に弾けたから、まるで魔法みたいだと言っている」
「〜みたい」「〜のようだ」という比喩表現は、「実際にそうではないけど、そのくらいすごい」という意味を含みます。ASDの子はこの「見立て」の部分がピンとこない場合があります。
【問題③:ちょっと難しい皮肉】
雨がザーザー降っている日に、お母さんが外を見て「いい天気ねえ」と言いました。
Q1. お母さんはなぜそう言ったのでしょう?
Q2. 本当にいい天気ですか?
⭐️ ASDの子がよく返す答えの例
「お母さんは雨が好きだから」「お母さんが間違えた」
→ 状況(雨=悪天候)と発言(いい天気)の矛盾を、皮肉ではなく別の理由で解釈しようとする。
定型発達の子の答えの例:「雨で嫌だなって思っているから、逆のことを言った。本当はよくない」
なぜASDの子はこう答えるの? 💡
ASDの特性に「字義通り解釈(literal interpretation)」があります。言葉を、そのままの意味で受け取る。
これは「真面目」「正直」ともいえる特性ですが、比喩や皮肉のように「言葉の表面と裏に別の意味がある」表現には、うまくついていけないことがある。
比喩や皮肉を理解するには、実はかなり複雑な処理が必要です。
- 相手が言ったことを聞く
- 状況と照らし合わせる
- 「これは文字通りじゃないかも」と気づく
- 「じゃあ本当の意味は何?」と推測する
この4ステップを、定型発達の子は無意識にやっています。でもASDの子は、2〜4のプロセスが難しかったり、気づかなかったりすることがある。悪意があるわけでも、聞いていないわけでもない。処理の仕方が違うだけです。
次男と試してみた話 👦
うちの自閉症中2次男、論理力はかなり強いタイプです。算数の手順を追うのは得意。記憶力も高い。
でも昔から「言葉の裏」は苦手でした。
小さい頃、私が冗談で「もう知らない!」と言ったとき、次男が本当に泣き出したことがあります。「お母さんが知らないって言った」と。皮肉や冗談が「言葉の通り」に届いていたんだと、あとからわかりました。
中学生になって、だいぶ読めるようになってきましたが、今でも初めて会う人の皮肉は気づかないことが多い。
問題①〜③を一緒にやってみたとき、③は正解できたのに、①はちょっと悩んでいました。「先生が嘘をついてるってこと?」と聞き返してきたのが印象的でした。
「できなかった」じゃなくて「こういう子なんだ」と知るためのテスト ❤️
このテストの目的は、点数をつけることじゃありません。「うちの子はこういう言葉の受け取り方をするんだな」を知るためのものです。
比喩や皮肉がわからなくても、それは知性の問題ではない。ASDの特性として、言葉の処理のルートが違うだけ。
わかったことが増えれば、日常の声かけを変えられます。
- 「腹が立つ」より「怒っている」
- 「目から鱗」より「びっくりした」
- 「もう知らない!」より「ちょっと困ってる」
言葉を変えるだけで、子どもに届きやすくなる。それだけで十分だと思っています。
📚 発達障害の人が見ている世界
ASDの人が言葉・感情・感覚をどう受け取っているか、豊富なイラストで解説。「比喩が伝わらない」「皮肉に気づかない」理由も丁寧に書かれています。まず1冊読むならこれ。
まとめ ✅
- ASDの子は言葉を文字通りに受け取る特性がある
- 比喩・皮肉テストで「どう受け取るか」を知ることができる
- できた・できなかったより「この子の言語処理を知る」が目的
- 日常の声かけをシンプルにするだけで伝わりやすくなる
子どもの「言葉の世界」を知ると、見える景色が変わります。ぜひ気楽に、クイズ感覚で試してみてください。少しでも参考になれば嬉しいです。


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