📌 この記事でわかること
- ADHDの長男が「高専に行く」と言い出してから合格するまでのリアルな道のり
- 失速・推薦落ちを乗り越えた「塾を減らす」という逆転発想
- 発達障害の子に高専が合う理由と、入学前に母がやっておいたこと
「高専に行く」
中学2年の3月、長男が突然そう言いました。
昼夜逆転・勉強拒否・朝起きられない日々が続いていたあの子が、自分から「行きたい学校」を見つけた。それだけでも、奇跡みたいな出来事でした。
でも最初に浮かんだのは、喜びより不安でした。
「本当に通えるの?」「偏差値、届くの?」「ADHDの子が寮生活なんて……」
そこから約1年、長男は失速したり、推薦で落ちたり、それでも諦めずに一般入試を突破しました。偏差値50以下から、偏差値61の高専へ。
今日は、その合格までの道のりと、母として準備したことを前編としてまとめます。
📣 中2の3月、突然の「高専宣言」
長男が「高専」という言葉を持ち帰ってきたのは、学校の授業がきっかけでした。何かで高専のことを知って、「ここだ」と思ったらしい。
当時の長男は勉強に対してほぼ無気力で、成績も真ん中より下。「高専に行きたいなら受験勉強しないといけないよ」と伝えると、「わかってる」と一言。
……その翌日から、少しだけ自分で勉強を始めたんです。
あの子が自分から机に向かうのを見て、私は何も言えなくて。「止めちゃいけない」と直感的に思いました。
😔 中2の夏——やっぱり、失速した
でもその熱は、夏前には失速しました。
「やると決めた→最初は頑張る→維持できなくなる」——ADHDあるある、と言えばそれまでですが、うちの長男は本当にそのままなんです。
塾には行っていましたが、行くだけ。勉強しているようでしていない。私も「どうすればいいの……」と途方に暮れていました。
「高専は無理かもしれない」と思い始めていた中3の夏、転機が来ました。
✨ 中3の9月——オープンキャンパスで火がついた
志望校のオープンキャンパスに行った日、長男が変わりました。
在校生が楽しそうに実験していて、廊下に作品が並んでいて、「ここに自分がいる」イメージが持てたんだと思います。帰り道、「やっぱり行きたい」とぽつりと言いました。
⭐️ここが大事!
ADHDの子は「言葉でいくら説明しても伝わりにくい」ことがあります。でも実際に見て・感じて・「ここだ」と思った体験は、強烈な動機になる。オープンキャンパスは絶対に行ったほうがいいと、今なら自信を持って言えます。
📚 塾を「減らす」という逆転発想
オープンキャンパスの後、私は思い切って塾の頻度を週1に減らしました。
「受験前なのに減らすの?」と思いますよね。でも、週複数回通って「行くだけ」になっているより、週1でも「自分でやる時間」を増やした方がいいと判断したんです。
長男に合っていたのは、自分のペースで、好きな順番で進める勉強スタイルでした。誰かに管理されるとかえって反発する。そのことに気づくのに、中学3年までかかってしまいました。
塾を減らした分、家で自分のペースで進める。それが長男には合っていたようでした。高専入試は教科数が絞られているので、苦手単元を集中的に対策できたのも大きかったと思います。
💔 中3の1月——推薦入試、不合格
推薦入試は数学・理科・英語・面接の試験でした。
結果は不合格。
本人はショックを受けていましたが、「一般でもう一回受ける」と翌日には言っていました。私の方が引きずっていたかもしれません。「もし一般も落ちたら……」という不安がずっと頭にありました。
でも長男は、淡々と勉強を続けていました。口出しできなかったし、すべきでもなかった。あの1ヶ月は、子どもの力を信じることを学んだ時間でした。
🎉 中3の2月——一般入試、合格
合格発表の日、長男から「受かった」とだけLINEが来ました。
私はその場で泣きました。うれしいというより、ほっとして、「この子はちゃんと自分の力で掴んだんだ」という気持ちで。
偏差値50以下から、偏差値61の高専へ。中2の夏に失速して、推薦で落ちて、それでも諦めなかった。ADHDの診断を受けた子が、自分の意思で進路を切り拓いた瞬間でした。
🏫 発達障害の子に「高専が合う」3つの理由
長男の合格・入学後の変化を見て、「なぜ高専が発達障害の子に合うのか」が少しわかってきました。
①「好き」を突き詰められる環境がある
高専は1年次から専門科目に触れます。「ロボットが作りたい」「プログラミングがしたい」という子には、その熱量を活かせる場が最初からある。ADHDで「興味のないことは続かない」長男には、これが決定的に大きかったです。
②「変わり者」が多く、浮きにくい
高専には「自分の興味にまっすぐな子」が集まる傾向があります。長男が「高専に来てから、初めて『自分みたいな人がいる』と思った」と言ったとき、胸がじんとしました。
③クラスが小さく、人間関係が安定している
高専は1学科40人前後で、5年間同じメンバーで過ごします。人間関係の変化が苦手な子には「顔と名前が一致している安心感」があります。慣れるまで時間がかかっても、5年あれば十分です。
📋 入学説明会で気づいた「支援してくれる学校」
入学説明会の配布資料に、こんな一文がありました。
「特性が強く、生活や学習に支援が必要な方は、説明会終了後に個別相談会を行います」
一般的な高校では見かけない文言です。「最初から、配慮が必要な生徒がいることを想定している」という姿勢に、大きな安心感を覚えました。迷わず相談会に参加しました。
相談会では、常駐の心理士(カウンセラー)がいること、担任以外に相談できる窓口があること、担任への情報共有もできることを教えてもらえました。「最初から支援の土台が作れる」と感じた瞬間でした。
📝 入学前に私がやっておいたこと
①特性サマリーを1枚にまとめた
診断名・困りごと・これまでの支援経過を1枚にまとめて担任に渡しました。「できないこと」の羅列ではなく、「こうしてもらえると助かります」という具体的なお願いの形にしたのがポイントです。口頭で話すと感情的になりがちな私には、書面にすることで冷静に・正確に伝えられました。
②本人に「困ったら自分で言う」を練習させた
高専は自己管理の世界。先生が細かく面倒を見てくれるわけではありません。「困ったときは自分から先生に相談する」ということを、入学前に何度も話し合いました。これが入学後、実際に自分から相談に行けた場面につながったと思っています。
③苦手単元を自分のペースで復習した
高専の授業は90分・大学形式で、提出物の自己管理が求められます。入学前の春休みに、苦手単元をさかのぼって復習しておきました。紙のドリルは長男には合わなかったので、タブレット学習を活用しました。
📚 受験期に読んで支えになった一冊
「15歳までに身につけておきたいライフスキル」を具体的に解説してくれる本です。受験よりも先に「自分でやっていく力」を育てることの大切さを改めて実感しました。高専進学を考えているご家庭にも届けたい一冊です。
📱 天神タブレット学習
入学前の基礎固めに活用しました。学年をさかのぼって苦手単元から復習できる設計で、「今日やること」が視覚的に示されるので計画が苦手なADHDの子にも取り組みやすかったです。受験後の春休み復習にもおすすめです。
✏️ まとめ|諦めなかった子が、自分で掴んだ合格
❌ 「勉強しなさい」と口出しし続ける
⭕️ 本人が「行きたい」と思える場所を一緒に探す
❌ 塾を増やして管理しようとする
⭕️ 本人のペースに合わせて「自分でやる力」を育てる
❌ 推薦落ちで諦める
⭕️ 一般でもう一回、子どもの力を信じて待つ
高専は万能ではありません。でも「好きなことがある」「こだわりが強い」「普通の枠がしんどかった」——そんな子には、驚くほど合う場所になることがあります。
進路で悩んでいるお母さんへ。偏差値より、その子が生きやすい環境を探すことの方が、ずっと大切だと私は思っています。少しでも参考になれば嬉しいです。


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