📌 この記事でわかること
- 発達障害の子に「普通のほめ方」が届きにくい理由
- 「すごい」より効いた、具体的に事実をほめる声かけ
- 「ほめられたい子」が「もう一回やらせて」と粘る子に変わった、次男の話
「ほめて伸ばしましょう」。発達障害の子の育児で、耳にタコができるほど聞く言葉です。
それができたら苦労しないんだよ、と何度思ったことか。ほめても、無反応。ほめても、疑いの目で見てくる。ほめるところを探すだけで日が暮れる日もある。ADHDの長男とASDの次男を育てながら、私は「ほめる」の難しさに、ずっとつまずいてきました。
それでも、ふたりを見てきて分かったことがあります。響かなかったのは、ほめ方の「型」が合っていなかっただけでした。この記事では、わが家でようやく見つかった、響くほめ方の話をします。
🤔 なぜ、普通のほめ方が届きにくいのか
振り返ると、届かなかったほめ方には共通点がありました。
まず、漠然とした「すごいね」。何がすごいのか分からないほめ言葉は、うちの子たちには雑音と同じでした。特に次男は、言葉を額面通りに受け取る子。中身のない「すごい」は、すっと素通りしていきます。
つぎに、結果だけをほめること。「100点えらい」「勝ってすごい」。これをやると、次に結果が出なかったとき、子どもは失敗を隠すようになる。結果のほめは、次のプレッシャーとセットなんですよね。
それから、人と比べるほめ。「お兄ちゃんより早かったね」は、一見ほめ言葉でも、裏返せば比較の物差しを子どもに植えつける言葉でした。そして、おだて。取ってつけたようなほめ言葉は、あの子たちは敏感に見抜きます。見抜かれたおだては、信用を減らすだけでした。
🎯 「すごい」より「ここができたね」
わが家で効いたのは、拍子抜けするほど地味なほめ方です。できた事実を、具体的に言葉にする。それだけ。
「すごいね」ではなく、「最後まで話を聞けていたね」。「えらいね」ではなく、「自分から宿題出したね」。何がよかったのかを、事実として短く伝える。評価というより、実況に近いかもしれません。
次男は、WISCの検査のあとに教えてもらったことがあります。この子は「よく聞けていたね」のように、できたところを具体的に認められると自信につながるタイプだと。実際、ふわっとした称賛には無反応な次男が、具体的な一言にはちゃんと反応する。「見ていてくれた」が伝わるからだと思います。ほめるとは、評価することじゃなくて、気づいたと伝えることなのかもしれません。
📏 比べるなら、「昨日のその子」と

もうひとつの柱は、比べる相手を変えることでした。
よその子と比べれば、うちの子たちは遅れて見える場面がたくさんあります。きょうだいの間でも、得意はバラバラ。だから、比較の物差しは外に向けない。昨日のその子と、今日のその子。それだけを比べる。
昨日できなかったことが、今日ちょっとできた。それはクラスで何番だろうと、立派な前進です。この物差しに変えてから、ほめるところは案外たくさんあることに気づきました。できない日があっても、物差しがその子基準なら、「今日はそういう日か」で流せる。親の心も、少し楽になりました。
🌱 「ほめられたい子」が「もう一回やらせて」に変わるまで
次男は小学1年でWISCを受けたとき、答えが合っているかどうかより、「ほめてもらえるかどうか」をとても気にする子でした。検査の先生の顔色をうかがいながら課題をやる。評価が怖くて、正解より大人の反応を見てしまう。あの頃の次男は、そういう子でした。
それが数年後、小5で受けた検査では、難しい問題に「もう一回やらせて」と、自分から粘る子になっていました。
ほめられるために頑張る子から、できるようになりたくて粘る子へ。この変化を、検査の先生は、小さな成長に気づいて声をかけてくれる大人の存在が支えた、という趣旨で受け止めてくれました。特別な教育をしたわけじゃありません。小さな「できた」に気づいて、言葉にする。家で、園で、学校で、それを続けてくれる大人がいた。その積み重ねだったんだと思います。
ほめ言葉は、その場で子どもを喜ばせるためのものじゃなくて、ゆっくり効いてくる栄養なんだと、次男の変化が教えてくれました。
検査の報告書には、支援のポイントとして「よく聞けてたね、と認めることが自信につながる」と書かれていました。次男は聞いて覚える力が強い子だったので、そこをそのままほめてあげればいい、ということでした。何をほめるかは、その子の得意な場所を知っていると決めやすくなります。
🔍 見落とされやすい子ほど、意識してほめる
わが家は、ほめる内容だけでなく伝え方も子どもに合わせて変えてきました。長男には家では呼び方をやわらかくして、口調も一段やさしくする。こちらにきつく言うつもりがなくても、強い言い方だとそこが引っかかって、肝心の中身が届かない子だったからです。次男には冗談を多めに混ぜて、大事なところだけ真顔で伝える。同じ言葉でも、届く形は子どもによって違いました。
長男のほうには、別の課題がありました。ほめられる機会そのものが、少ないことです。
長男は多動のない、おとなしいタイプのADHD。授業を妨害しないぶん、先生の手を焼かせない代わりに、目もかけられにくい。がんばっても目立たず、できても気づかれない。ほめの総量が、構造的に足りなくなりやすい子でした。
そんな長男が変わったきっかけのひとつが、中学での英検4級です。ギリギリの合格でした。でも、あの「合格」の二文字で、長男は「おれ英語得意かも」と言い出したんです。定期テストの点は相変わらずだったのに、です。
小さな成功が、本人の中では大きな自信になる。おとなしくて見落とされやすい子ほど、家では意識して、小さなできたを拾ってあげたい。学校で足りないぶんは、家で補っていい。長男の「おれ英語得意かも」を聞いてから、私はそう決めています。
⭐ここが大事!
「すごい」は、ほめられ慣れていない子ほど流れていきます。効くのは「ここができたね」と場所を指すほめ方と、よその子ではなく昨日のその子と比べること。そして、ほめる中身と同じくらい、その子に届く伝え方(呼び方・口調・タイミング)が大事です。
🌸 ほめ上手じゃなくていい。まず「気づく」から
ここまで書いてきて、なんですが。私は今も、ほめるのが上手な母親ではありません。照れくさいし、忘れる日もあるし、小言のほうが先に出る日もあります。
でも、上手にほめようとしなくていいんだと思います。大事なのは、ほめ言葉の技術より、気づくこと。昨日できなかったことが今日できている。その瞬間を見つけたら、「できたね」と短く言うだけでいい。飾らない一言のほうが、あの子たちにはよほど届きました。
今日、お子さんの「小さなできた」をひとつ、見つけられますように。見つけたら、実況するみたいに、そのまま言葉にしてみてください。それがたぶん、いちばん響くほめ方です。
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