📌 この記事でわかること
- WISCの4指標それぞれで「合う勉強法・合わない関わり方」の違い
- 次男の検査報告書に書かれた支援ポイントをどう日常に落とし込んだか
- IQが85→113になるまでの4年間に「特別なこと」は何もしていなかった話
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「WISCを受けてきました。結果を渡されたんですが——正直、どうすればいいのかよくわかりません」
検査を受けた後、こういう気持ちになるお母さんは多いと思います。私もそうでした。
厚い報告書を渡されて、数字がずらっと並んでいる。先生が「こういう傾向があります」と説明してくれる。うなずく。でも帰り道に「で、私は明日から何をすればいいの?」となる。
この記事では、WISCの結果を「子どもの勉強や日常生活にどう活かすか」に絞って書きます。うちの自閉症次男(現在中2)の実際の検査報告書をもとに、4年間でやってきたことをまとめます。
WISCの4指標——「何が低いか」で変わること
WISCの全検査IQは4つの指標の合計です。だから「IQが低い」ではなく「どの指標が低いか」を見ることの方が、はるかに実用的です。
指標別に「低かったとき困ること」と「合いやすい関わり方」をまとめます。
① 言語理解(VCI)が低いとき
「言葉で理解・表現・推理する力」が低いと、こんな場面で困りやすいです。
❌ 説明文を読んでも意味がつかめない
❌ 語彙が少なく、言いたいことが言葉にならない
❌ 指示を「言葉のまま」受け取ってしまい、ニュアンスが伝わらない
✅ 合う関わり方:言葉と体験をセットにする
言葉だけで教えようとするより、「やってみる・見てみる・触れてみる」とセットにした方が入りやすいです。「分数って、ピザを3枚に切ったうちの1枚がね……」という具体的なイメージが重要。次男の小1の報告書にも「文字は形・音・意味の3つをセットで覚える(体験と結びつける)」と書いてありました。
② ワーキングメモリ(WMI)が低いとき
「聞いた情報を一時的に頭に置きながら処理する力」が低いと、こういうことが起きます。
❌ 複数の指示を一度に言われると、途中で忘れる
❌ 計算中に前の数字を覚えておけない
❌ 授業中に先生の話を聞きながらノートが取れない
✅ 合う関わり方:指示は1つずつ・メモ・見える化
「宿題やって、お風呂入って、歯磨きして」を一気に言わない。1つ終わったら次を伝える。指示を紙に書いて渡す。ホワイトボードに今日の手順を書いておく——こういった工夫が機能します。ADHD不注意優勢型の長男がまさにこのタイプで、「言ったのにやらない」の多くはこれが原因でした。

③ 処理速度(PSI)が低いとき
「視覚情報を素早く正確に処理する力」が低いと、こういう場面が辛くなります。
❌ 黒板の板書が消えるまでに写せない
❌ テストで時間が足りなくなる
❌ 「早く書いて」と言われると余計にパニックになる
✅ 合う関わり方:時間のプレッシャーをなくす
「速さ」を求めない。板書は写真で補う(学校に許可を取る)。テストは別室・延長時間の配慮申請も選択肢。次男の小5の報告書には「じっくり考えてから動くスタイルを認める、周囲のペースと合わなくても責めない」と書いてありました。
⭐️ ここが大事!WISCで「低い指標」が出ても、それは「できない」のではなく「その方法では入りにくい」というサインです。入り口を変えれば、同じ子が驚くほど動き出すことがあります。
次男の報告書に書いてあったこと——実際にどうやったか
次男は小学1年(7歳)のとき、全検査IQ85でWISCを受けました。4指標は言語理解86・知覚推理82・ワーキングメモリ103・処理速度83。唯一平均だったのがワーキングメモリで、残り3つは低めでした。
報告書には「支援のポイント」として、以下のようなことが書いてありました。
- 具体的な見本を見せながら、過去の経験とつなげて説明する
- 聞いて覚える強みを学習・日常生活に活かす
- 初めての場面が苦手 → 事前に活動の流れ・見通しを伝える
- 「よく聞けてたね」と認めることで自信につながる
- 文字は形・音・意味の3つをセットで覚える(体験と結びつける)
これを受けて、私が実際にやったことを書きます。特別なことは何もしていません。
「聞いて覚える力が強み」を使う
次男はワーキングメモリが平均(103)。つまり人の話を聞く力はある。これを活かして、「書いて覚えさせる」より「声に出して確認する・聞かせる」を増やしました。漢字の練習も、書く前に「これ何て読む?」と声で確認してから書く。
「初めての場面が苦手」には事前に話す
次男は初めての環境・初めての先生に固まってしまうことがありました。だから行事や検診・進学など「初めて」がある前には、必ず事前に話しました。「次の健診は〇〇病院に行くよ。ここで血圧を測って、次に視力検査があって……」と流れを伝える。これだけで当日のパニックがずいぶん減りました。

「言葉と体験をセットにする」
語彙を増やすために「辞書を引く」より、「体験と結びつける」を意識しました。スーパーで買い物しながら「これを2つに等分するって何個?」とか、小6でバスケを始めてからは、チームメイトとのやりとりの中で自然と言葉が増えていきました。「パス」「ポジション」「戦術」など、実体験と言葉がセットになる。机に向かわない経験が、結果的に言語理解を育てていたのかもしれません。
4年後のWISC——何をしたら113になったのか
小学5年の再検査で、全検査IQが85から113になりました。言語理解は86→115(+29)、知覚推理は82→113(+31)。
「何か特別なことをしたの?」とよく聞かれます。
していません。
専門的な認知トレーニングもしていません。毎日の積み重ねは、こんな感じです。
- 小6からバスケを始めた(体を使いながら仲間と言葉をやりとりする経験)
- 学校のサポートを積極的に使った(通常級・支援級の両方に席を持つ形を担任と交渉)
- 「できたこと」を具体的に言葉にして伝えた
- 失敗しても「次はどうしようか」で終わる習慣
支援機関の先生に「良い生活をするとIQが上がる項目があります」と言われたとき、「ああ、そういうことか」と思いました。IQは固定値じゃない。特に子どものうちは、環境と関わりで変わる余地がある。
小5の報告書には「小さな成長に気づいて声をかけてくれる大人の存在が伸びを支えた」と書いてありました。勉強法より先に、これだったんだと思います。
小5の報告書から——継次的思考という発見
小5のWISCで言語理解と知覚推理が大きく伸びた一方、処理速度だけは他の指標より低いままでした(99)。
このときの報告書に「継次的思考が得意・同時処理は苦手」と書いてありました。
継次的思考というのは「順番に一つずつ処理していく思考スタイル」のことです。次男は「A→B→C」と順を追って進めるのが得意。でも複数のことを同時並行でこなすのは苦手。
これを知ってから、宿題の取り組み方を変えました。「国語と算数を今日中に」ではなく「まず国語の漢字だけ。終わったら算数の計算問題」と区切って伝える。最後まで終わったことが体験として積み重なると、次も動きやすくなっていきました。
もうひとつ、「最初に焦りやすい」という記述もありました。報告書には「事前に『最初は誰でもまごつくよ』と話しておく」とあって、これをそのまま使いました。
新しいテキストを開くとき、初めての授業のとき——「最初はわからなくて当たり前だからね」と先に言っておく。これだけで、次男が「わからない」ことへのパニックが起きにくくなりました。
WISCの結果を受け取ったとき、まず何をするか
結果を受け取ったら、まずやってほしいことが3つあります。
✅ 「全検査IQ」より「指標のバラつき」を見る
一番低い指標と一番高い指標の差が15以上あると、日常生活での「できる・できない」の差が大きく出やすいです。差があることを知っておくだけで「なんでこれはできるのにあれはできないの」という疑問が解けます。
✅ 「支援のポイント」セクションを読む
報告書の後半に書いてあることが実は一番大切です。「こういう場面では事前に伝えましょう」「こういう言い方が伝わりやすい」といった具体的なヒントが詰まっています。数字より、ここを読む。
✅ 担任の先生と共有する
報告書の「支援のポイント」を学校にも伝えることで、先生の関わり方が変わることがあります。「板書が間に合わないかもしれません」「指示は一度に1つにしてもらえると助かります」——こういった一言が、学校での苦労を減らします。
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まとめ
- ❌「IQが低い=頭が悪い」ではない。どの指標が低いかが大事
- ✅ 言語理解低め → 言葉と体験をセット・具体的な見本を見せる
- ✅ ワーキングメモリ低め → 指示は1つずつ・見える化・メモ活用
- ✅ 処理速度低め → 時間のプレッシャーをなくす・板書は別の方法で補う
- ✅ 報告書の「支援のポイント」が最も実用的。数字より先に読む
- ✅ IQは変わる。次男が4年で28点上げたのは、体験・声かけ・日常の積み重ね
WISCの報告書を「難しい資料」ではなく「この子の取扱説明書」として使う。そう思えてから、私の関わり方が変わりました。同じように「報告書をもらったけどどうしたらいい?」と感じているお母さんに、届いていたら嬉しいです。
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