📌 この記事でわかること
- 耳から・目から指示が入りにくい/入りやすい、それぞれの仕組み
- わが子が視覚優位か聴覚優位かの見分け方
- それぞれの特性を生活・学習に活かす具体的な方法
- この特性は発達障害の子によくあるのか?
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「何度言ってもわからない」と思っていた。
長男への指示は、口で言っても抜けていく。「ご飯の前に手を洗って」「カバンを片付けてから」——そう言った5秒後には、もう違うことをしている。でも同じことをメモに書いて渡すと、ちゃんとやる。これが毎回だった。
次男は逆だ。絵や図を見せてもピンとこない顔をする。でも「こうやってやるんだよ」と声で説明すると、すぐ理解する。
2人を育てながら気づいた。長男は目から、次男は耳から——情報の入り口が違う。これを知ってから、声かけのやり方がガラッと変わった。
「耳から入りにくい」——どういう仕組みで起きるのか
耳から指示が入りにくい子は、聞こえていないわけじゃない。脳での「処理」に困難がある。
ワーキングメモリの弱さ
ワーキングメモリとは、情報を一時的に頭に置きながら作業する力のこと。ADHDの子に弱い傾向があり、一度に保持できる情報量が少ない。「手を洗って、カバン片付けて、着替えて」と3つ言われると、途中で容量がいっぱいになり、全部を保持したまま動き出すことができない。小さいホワイトボードに3つ書こうとしたら、はみ出てしまうようなイメージだ。
音声情報は「消える」
書かれた文字や絵は見返せる。でも声は消える。注意が一瞬でもそれた瞬間に、情報がなくなる。これが視覚情報との大きな違いだ。
聴覚情報処理の困難(APD的な特性)
「聴力」には問題がないのに、聞いた言葉を意味として処理するのに時間がかかるケースもある。先生が話し終わってから脳が追いつく——そんなイメージだ。
⭐ 長男はまさにこのタイプ。口頭の指示だけだと、悪気なく消えていく。「聞いていない」のではなく「保持できない」。
「目から入りにくい」——どういう仕組みで起きるのか
目から情報が入りにくい子は、視覚的な情報の処理に負荷がかかっている。
視覚情報の「多さ」に処理が追いつかない
黒板の文字、教科書の図、周囲の動き——目に入る情報が多すぎると、どれを処理すればいいかわからなくなる。特に感覚過敏がある子は、視覚的な刺激が「ノイズ」になりやすい。
文字を読む負荷が高い
文字を読んで意味を取るまでに時間とエネルギーがかかる。長文の説明文や手順書より、口で話してもらった方がスムーズに理解できる。
空間認識・図の読み取りが苦手
地図・グラフ・図解を見ても、何を言いたいのかが視覚情報からつかめない。言葉で「右に曲がって、次の角を左」と言ってもらった方が理解しやすい。
⭐ 次男はこのタイプに近い。スケジュール表や絵カードより、「今から何をするか」を声で伝える方が動きやすい。ASDの子は視覚優位とよく言われるが、個人差がある。

うちの子はどっち?——見分け方チェック
どちらが優位かは、日常の小さな反応でわかってくる。以下でチェックしてみてほしい。
視覚優位(目から入りやすい)タイプのサイン
✅ 口頭の指示は抜けるが、紙に書いて渡すとできる
✅ 動画や絵本、マンガは集中して見られる
✅ 道順や場所を絵や地図で示すとスムーズ
✅ カレンダーやホワイトボードのメモをよく見る
✅ 見て覚える(手本を見せると真似できる)
聴覚優位(耳から入りやすい)タイプのサイン
✅ 絵や図より、口で説明された方が早く理解する
✅ 歌や話し言葉をよく覚えている
✅ 読み聞かせや音声に集中できる
✅ 文字を読むより「読んでもらう」方が頭に入る
✅ 声かけに反応しやすい(視覚的なサインより)
⭐ どちらかに完全に当てはまる必要はない。「どちらかといえば」という傾向を把握することが大切だ。また、場面によって使い分けている子もいる。
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視覚優位の子への対応——生活・学習での工夫
口より「見せる」。これが基本方針だ。
生活の場面
朝の支度・帰宅後の流れをホワイトボードや紙に書いて貼る。「ご飯→歯磨き→宿題」と順番を見える化するだけで、声かけの回数が減る。長男の場合、冷蔵庫にメモを貼るようにしてから「何度も言う」ストレスが減った。
学習の場面
口頭での説明だけでなく、手順をノートに書いて残す。黒板の内容は写真に撮ることを許可してもらう(学校に相談)。マンガや図解で説明している参考書が向いている。タイムタイマーなど「時間を見える化」するツールも有効。
指示の出し方
「○○して」と口で言った後、必ずメモかジェスチャーで補足する。複数の指示は一枚の紙にリスト化して渡す。「言ったのにやらない」ではなく「見えるところに置く」という発想の転換が効く。
聴覚優位の子への対応——生活・学習での工夫
絵より「声」。これが基本方針だ。
生活の場面
スケジュール表を見せるより、「今から○○するよ、次に△△ね」と声で順番を伝える。絵カードを渡しても効果が薄い場合、声かけのタイミングと言葉をシンプルにすることで対応できる。次男には、声で「いちに・さんで切り替えよう」と伝える方が絵より動きやすかった。
学習の場面
音読・読み聞かせが効果的。自分で声に出しながら読む・書くと記憶に残りやすい。問題文を声に出して読む習慣をつけると、視覚だけで処理するより理解が深まる。また、YouTubeや音声解説つきの教材が向いているケースも多い。
指示の出し方
ゆっくり、短く、明確に声で伝える。「手を洗って」だけでいい。一度に1つ。伝えた後に「今何するって言った?」と復唱させると定着しやすい。
この特性は発達障害の子によくあるのか?
「耳から入りにくい・目から入りにくい」という特性は、発達障害の子に珍しくない。むしろ、どちらかに偏りがある子の方が多い印象がある。
ADHDの子はワーキングメモリの弱さから、耳からの情報が保持しにくいケースが多い。その結果、視覚的なサポート(メモ・ホワイトボード・チェックリスト)が効きやすい。視覚優位の子が多いとされている理由はここにある。
ASDの子は「視覚優位」とよく言われる。絵カードやPECS(絵カードによるコミュニケーション)が療育でよく使われる背景もそこにある。ただし、次男のように聴覚優位の子もいる。ASDだから視覚優位、と決めつけると、合わない支援をし続けることになる。
⭐ 大切なのは「診断名でなく、目の前のわが子がどちらに反応するか」を見ること。親が気づいている感覚は、専門家が教えてくれる前から正しいことが多い。
まとめ
✅ 耳から入りにくい子は「聞こえない」のではなく「保持・処理が難しい」。見せる・書く支援が効く
✅ 目から入りにくい子は視覚情報の処理に負荷がかかっている。声・口頭説明の方がスムーズ
✅ チェックリストでどちらが優位かを把握して、指示の出し方を変えるだけで子どもの動きが変わる
✅ ADHDは視覚優位が多い傾向があるが、ASDは個人差が大きい。診断名で決めつけない
✅ うちの長男(ADHD)は視覚優位、次男(ASD)は聴覚優位——同じ兄弟でも正反対だった
「何度言ってもわからない」と感じているなら、伝え方の「チャンネル」が合っていないだけかもしれない。言葉を増やすより、入り口を変えてみてほしい。
同じように悩んできたお母さんに、少しでも届いていたら嬉しいです。
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