〜高専進学で見えた希望〜
1. はじめに:思春期で激変した長男
長男はADHD・不注意優勢型 ぼうっとしているけど静か 1対30の授業は全く無理だけど 家に帰って1対1での学習は特に理解が悪いわけではない 勉強嫌いで算数プリントもサボりがちでしたけど、「平日はできない日があってもいいからそのぶん土日に多めにしよう」、等の提案は渋々納得できる話し合える子でした。小学校6年まではまあまあ素直で、促せば何とか学習も生活も自分なりに取り組める子でした。
ところが中学生になり思春期に入ると、驚くほど態度が一変。親の言葉を素直に受け取れなくなり、会話はあっても否定的な反応が増えました。
2. 生活も学習も崩れた中学1年〜2年
最初に異変を感じたのは、衣類や体調管理の変化でした。
- 冬でもカッターシャツ1枚。上着は絶対に着ない。
- 夏でも長袖。水分を取らず脱水になり頭痛。
- 食事を抜く日があり、睡眠も安定しない。夜型で促しても寝ない。
学習面も急変。今まで続けていた算数のプリント(中2内容まで到達)を全くやらなくなり、家ではずっとトイレにこもるように。
リビングにも部屋にも寄り付かず、自室は「寝に戻るだけの場所」に。
中1の三者面談で「全教科の提出物が未提出」「テストも壊滅的」と判明。まさに支援が“崩れ落ちた”状態でした。
3. 支援の試行錯誤:塾・通級・親の立ち回り
「まずは生活を整えよう」と、睡眠と食事だけに絞って見守る日々。
塾は変えて、個別授業の回数を増減。通級指導教室にも週1で通うようにしました。
通級の先生が長男に合っていたようで、少しずつ回復の兆しが。
・先生との日常会話が楽しくなり
・質問や相談の方法を学び
・学校生活への不安が減ってきた
この時期は、学力よりも「元気に学校に通えること」を目標にしました。
発達面で問題がある子供は昼夜逆転から不登校になりやすい、と。まさにほっとくと昼夜逆転→学校に行けなくなる、との不安が大きかったのです。
4. 進路が転機に:高専を目指すきっかけ
中2の3月。ある日突然、長男が「俺、高専に行く」と言い出しました。
きっかけは、1つ年上の友達が隣県の高専に合格し、寮生活や専門的な学びに夢中になっていたこと。
その友人が毎日、寮の写真や授業の話を送ってくれていて、長男にとってはとても魅力的に映ったようです。
「同じ寮で、同じコースに行きたい」
長男はすぐに通級の先生にこの夢を語りました。
5. ゆっくり始動
通級の先生も「今からなら間に合うかもしれない」と背中を押してくれました。
とはいえ、偏差値62の高専コース。
当時の長男の学力は偏差値45ほどで、全く追いついていませんでした。
塾の個別授業を増やし、自習コースも取りましたが…最初の数ヶ月は変化なし。
「塾には行くけど、やる気が見えない」「自習室も使わない」
4月、5月、6月と時が過ぎても、家庭学習はゼロ。
夏前、思い切って長男と話し合いました。
長男は「やってる」と言うけれど、行動は伴わず。
塾の先生も無理との判断。偏差値が低めの地元の工業系の学校を勧められました。
6. 寮生活で劇的に変化した日常
秋も終わる頃から、少しずつ本気になってきた長男。
本気になったのはオープンキャンパスで学校の様子を見学し“目標がはっきりしていたから”。
「この学校に入りたい。テストの点をものすごくあげないと入れない。」
ただそれだけの理由が、彼の行動を変えました。
12月から1月にかけて学力は上がり、無事に第一志望の高専に合格。
そして迎えた寮生活——これがさらに大きな転機になりました。
- 寮には起床時間・点呼がある→自分で起きて自分で動く
- 食事、生活管理ができるようになった→自分で食堂に行く(気分じゃないとおかずを食べず米だけの日や小鉢のみしか食べないこともあるようですが食べた分の写真を毎食私に送ってくれます)
- 何より、親が関わらなくても回る→今まで起きるのも寝るのも親だのだったことを「できない」と私が判断していた。助けたくてもできない環境では長男なりに過ごせています。
入寮後1ヶ月、GWに帰省した長男は見違えいるように笑顔。言葉少なかった中学時代の会話が嘘のようにスムーズに話しかけてきます!帰省途中に電車がわからず駅員さんに自分から聞いた、との話に驚愕でした。
2年半、支援計画が崩れ悩み続けた日々が、たった1ヶ月で見違えるほど改善されました。
特性がなくなったわけではありません。でも、生活を妨げないレベルにまで落ち着いたのです。
7. まとめ:親の支援を超えて“本人の力”が育つまで
中学生の思春期は、予測不能な変化が起きます。
それまで順調だった子が、急に崩れていく。
支援計画なんてまるで意味をなさない。そんな日々が確かにありました。
でも、最終的に支援を立て直したのは「本人の意欲」でした。
親ができるのは、環境を整え、きっかけを探し、失敗を見守ること。
これはキレイ事で実際は本当に転機は来るのか?いつ来るのか?間に合わない。等焦ってしまいます。
今回長男は希望の進路に合格できましたが、最後まで私は無理だと思っていました。ダメだった時のことを第一に考えて近くの私立学校に見学、特性のある子供への対応等リサーチし次のチャンスに備えようと思っていました。学校の良いところを見つけていき、ここの学校も良いな、と私が思わないと行くことになった時の長男にどう対応していいか解らなかったからです。
本人がその先に「目指したいもの」「やってみたいこと」を見つけたとき、子どもは自分の力で再生します。いつその時が来ても良いように子供の準備ができているようにできれば良いのですが・・
高専に進学した今、長男はまだまだ不器用で特性も残っています。
でも確実に、「自分でやっていこうとする力」が育っているのを感じます。
——あの暗黒の2年半があったからこそ、今の成長がより輝いて見えるのかもしれません。
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