〜仕事を辞めないと決めた私の選択〜
🐣 子育てを全く知らないまま母になった日々
私は結婚するまで、子育ての経験がまったくありませんでした。身近に小さな子どももおらず、オムツ替えも抱っこも未知の世界。そんな私のもとに長男が生まれたときから、予想外の毎日が始まりました。
長男はとにかく「寝ない子」。昼も夜もまとまって眠らず、私がとれるのはほんの「うたた寝」程度。産後すぐから慢性的な寝不足で、心も体も常に限界ギリギリ。それでも若さだけでなんとか乗り切っていたように思います。
🐣 育休から復帰、そして「仕事中が心の休息」
育児休暇を1年取得しましたが、実家は両方とも遠方で日常的に頼れる先がありませんでした。長男が1歳のときに仕事へ復帰しましたが、市の保育園は落選。預けられたのは職場の保育園だけでした。
ただし職場の保育園は「親が休みの日は子どもを預けられない」というルールつき。休みの日こそ自分も休みたいのに、子どもと一日中向き合う必要があり、心身ともに疲労困憊。
それでも、不思議と唯一心が休まるのは「仕事中」でした。仕事をしている時間は自分のペースで動けて、社会とつながっている実感もありました。
🐣 「仕事はやめない」と決めていた
そんな状況でも、私は強く思っていました。
**「私は仕事をやめない」**と。
理由は、子どもが生まれた時点で将来の経済を考えていたからです。一度仕事を辞めてしまうと、子持ちで再就職するのは難しい。だからこそ結婚の時点で、私は「休暇がとりやすい」「残業がない」職場に転職しておきました。
もちろん、職場には「結婚すること」「産休を2回とりたいこと」を事前に伝えて了承を得ていました。そのおかげで産休・育休の取得、復帰後の有給の取りやすさ、遅刻や早退の融通までサポートしてもらうことができました。
当時は「その方がいいかな」程度の準備でしたが、結果的にはこの決断に何度も助けられました。もし準備していなければ、常勤で働き続けるのは到底無理だったと思います。
🐣 次男の誕生と兄の特性への気づき
長男が2歳半のときに次男を出産しました。次男もまた寝ない子で、とにかく日々は大変。夜泣きに授乳、抱っこで家の中を歩き回ることも日常茶飯事でした。
次男が1歳になった頃、ようやく地元の保育園に預けられることになり、少しだけ生活に余裕ができました。ちょうどその頃から、長男の「ちょっと違う」特性に気づき始めました。
深刻に悩んだわけではなく、「ふーん、そうかもな」と受け止める程度。なにしろ次男も寝ない子だったので、育てにくさを「そういうもの」と思っていたのです。
🐣 仕事を続けるためにした工夫
仕事を辞めないために、私はある工夫をしました。
それは テレビを見ないこと。
ドラマやワイドショーをつけると、つい見入ってしまいます。その時間を削るために、子ども番組以外は基本つけない生活に切り替えました。
夫は私たちが寝たあとにドラマやゴルフ番組を楽しみ、趣味のゴルフも月1回から3ヶ月に1回程度に減らしてもらいました。夫婦で協力しながら、私は仕事を続ける選択を守ることができました。
🐣 無理だと思った時期もあった
もちろん順調ばかりではありません。
長男が小学校に上がるタイミングや、私の体調がすぐれなかった時期、さらに長男が小5で夫が単身赴任になった時――「もう無理かも」と思ったこともあります。
そのとき私は職場に交渉しました。
「いざとなったら一度パートにしてもらい、無理のないタイミングで常勤に戻させてほしい」と。条件は「パートの間も仕事量は同じくこなす」というもの。
収入は大幅に減ってしまうけれど、「最悪はパートで続けられる」と思えたことで、心はずいぶん楽になりました。
🐣 子どもたちにかけたいのは「手」と「お金」
私は子育てで大切にしていることがあります。
それは 「できる範囲で手をかける」「できる範囲でお金をかける」 ということ。
無理はしないけれど、子どもたちが将来の選択肢を少しでも広げられるように、できるだけのことを考えて、行動してきました。
今、長男は高1、次男は中1。つい最近まで本当にがむしゃらでしたが、やっと振り返る余裕ができました。「あの時もう少し頑張って習い事をさせてあげてもよかったかな」と思うこともありますが、概ね「こんなもんかな」と納得しています。
🐣 母の必死と父のふんわり
振り返って一番よかったと思うのは、私ががむしゃらに必死で走っていた一方で、夫は趣味や友人との交流を大切にして「ふんわり」構えてくれていたことです。
母はどうしても子育てに必死になります。でも父がふんわりと構えていてくれたからこそ、家庭のバランスが取れていたのかもしれません。
おわりに 🐥 🐥
子育ては思い通りにならず、想像以上に大変です。とくに発達障害のある子を育てる毎日は、普通の育児とはまた違った工夫と覚悟が必要になります。
それでも「辞めない」と決めた仕事、夫婦の協力、そして小さな生活の工夫が、私にとって支えとなりました。
子どもが大きくなった今だからこそ言えるのは――
「先のことを考えて準備しておくこと」
「無理をしすぎない工夫をすること」
この2つが、がむしゃらだった私を救ってくれたということです。
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